知っておくと安心 振袖のいろは

お子様の成長を見守ってきた保護者様。
お宮参りにはじまり、七五三、十三参りと成長過程の節目ごとにお祝いをしてきましたが、その集大成が成人式です。
式典ですから、正装で臨みますが、未婚女性の正装といえば振袖。 といっても、日頃、着物を着る機会が少なくなっている現在、振袖といわれても戸惑うことが多いことと思います。
似合う振袖の見つけ方は? 費用は? 着付けは? お手入れは? 成人式後に着ることあるの?
その疑問にすべてお答えいたします。

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成人式ではなぜ振袖を着るの?

20歳を迎えると法的にも、社会的にも大人となります。見守ってきたご家族が祝うだけでなく、社会も“新しい一員として歓迎します”と祝うのが成人式です。この式典に未婚女性の第一礼装である振袖で出席するのが、二十歳の振袖です。

成人式の起源は奈良時代にまで遡ります。ただし、これは皇族や貴族階級です。その後、平安期に入り、成人が男子は元服、女子は裳着という通過儀礼として定着していきます。男子は衣装と髪形を大人と同じようにしました。女子は10代前半で初めて裳を着け、この裳着の日をもって成人とされ、結婚が許可されました。
その後、江戸時代以降、女子も裳着ではなく元服と称されるようになり、18歳から20歳が対象となっています。

現在の形になったのは1948年。国民の祝日に関する法律により「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」趣旨から自治体が式典を開催するようになったのです。
現在では各自治体で工夫を凝らしたプログラムや内容で実施されています。この自治体主催の式典が成人式です。式典ですから、大人の自覚を持つ意味でも正装で。そのため最近では女性の90%以上が振袖で出席するのです。

成人式はデビュタント

欧米の上流階級や貴族の子女は18歳になると社交界にデビューします。これがデビュタントです。
ウィーン国立歌劇場で2月に行われるオーパンバルが有名ですが、純白のゆったりとしたボールガウン(イブニングドレスよりもふんわりとしたデザイン)に、白の肘上まであるオペラ・グローブが定番とされています。なかでもウィーン国立歌劇場のオーパンバルはヴィナー・オーパンバルとよばれ、1877年にオーストリア=ハンガリー帝国皇帝主催で開催された由緒正しいもの。1945年に戦争で劇場が消失したため中断しましたが、1956年以降、共和制に移行してからは大統領主催となり、毎年開催されています。
ダンスの伴奏はウィーンフィルハーモニー管弦楽団の母体であるウィーン国立歌劇管弦楽団とウィーン・オペラ舞踏会管弦楽団が担当します。一生に一度しかないこの日に向けて、ダンスの練習に加え、美容、ドレスの準備もするのです。ちなみにデビュタントがお見合いも兼ねているのですから、頑張りどころといってもいいかもしれません。

日本ではこうした社交界へのデビューはありません。が、成人式はそれに相当するもの。一生に一度しかないその日のために、衣装、美容など、万全の準備をして臨みたいものです。

職人技が冴える振袖

さて、自分のサイズで誂えるデビュタントドレスと同様、振袖も自分のサイズ、自分の好みで誂えます。似合う色、柄はもちろん、映える色や小物での差し色などを組み合わせ、オリジナルのコーディネートを作り上げていくのです。着物は同じ形ですが、着る人や着るシーンによっていくらでも変わるのが着物の良いところでもあります。

その着物や帯の素材は絹。そこに合わせる帯揚げや帯締めなども絹が使われます。
それだけでも贅沢なことですが、そこに凝った手業が加えられ、振袖を一層豪華なものにしています。

たとえば、着物に描かれた花や葉が画一的でなく、遠近感があるようになっています。それは精緻な絵付けがなされているからです。特に色を均一に乗せるのではなく、薄い色から濃い色へと変化させる“ぼかし”と呼ばれる技法は職人の熟練の技が必要です。

絵だけではありません。ところどころに入った刺繡。刺繡をする図案や技法に合わせて糸から作ります。大胆で力強いものであれば太い糸で、繊細な部分には細く。もちろん、撚りのかけ方も変えているのです。技法も40種以上。色だけでなく、どの技法を使うか、どのような表現にすると図案が生きるのか……。確かな目を持った職人の技の集大成ともいえるのです。

そのほか、絞りや箔など、多くの人の手がかかっています。だからこそ、振袖は美しく、着る人を華やかにみせるのでしょう。

意外と多い、振袖着用の機会

振袖は未婚女性の第一礼装です。ですから、デビュタントドレスが一生に一度しか着られないのと異なり、着用機会はたくさんあります。

まず、友人の結婚式。振袖姿は招待者への礼を尽くしたことにもなりますし、場を華やかにします。特に受付を依頼されたらぜひ振袖姿で出席してください。他の出席者にも喜ばれるに違いありません。

親戚や親族のお祝いも同様です。ご両親の還暦のお祝い会や食事会、銀婚式など。あるいは祖父母の金婚式のお祝い、傘寿のお祝いなどは敬意を込めて振袖で参加するのがいいでしょう。レストランでも良い席にしてくれること間違いなしです。もちろん、いとこやきょうだいの結婚式では堂々と着用します。

お正月も良い機会です。初詣は神様への表敬訪問。とすれば、第一礼装は理にかなっています。ただ、この場合、同行する人も男性であればダークスーツなどそれなりの服装を。第一礼装の振袖の娘の横に立つ父親がジーンズではちぐはぐな記念写真になってしまいます。お正月の観劇やコンサートもすてきです。振袖は演者からもよく見えるとか。「わざわざ振袖で来てくれた」と思うということです。

当然、お正月のデートもOKです。あらたまった気分となり、盛り上がるはずです。また、振袖姿は普段と違う魅力も見せられます。ただし、洋服と同じように動くことは難しいので、行先は考慮しましょう。

新年会にもいいですね。メンバーや場所にもよりますが、振袖で参加することで、思い出深い楽しい会合になるでしょう。

そして、ご本人の結婚に際しての相手方へのご挨拶や結納、あるいは食事会など。結婚式やそれに関連する行事もカジュアルな形が増えていますが、やはり相手あってのこと。相手を思いやり、相手の家族を思いやる心を第一礼装に託します。

代表的な例を挙げました。袖が長いため、活発に動くことは難しい振袖ですが、それだけに優雅で美しい所作が映えます。せっかくの振袖です。成人式のほかにもたくさん着用して、よりエレガントな女性になってくださいね。

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